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地域の食を支えて115年! 長岡中央水産が見据えるこれからの市場の役割とは?

旧来の市場のイメージを超える、新しい取り組みにチャレンジ!

長岡中央水産は、115年以上にわたり地域の食を支えてきた老舗水産卸売企業です。鮮魚から加工品、冷凍品まで幅広く扱い、スーパーなどに販売しています。社員はそれぞれ自分の担当商材を持ち、仕入れた商品をお客様に提案・販売しています。
ただ、水産資源は自然環境の影響を強く受けるもの。近年は獲れる魚種や量も、以前から大きく変化しているといいます。そんななか、長岡中央水産はIT化や業務改善で働きやすさを向上させつつ、自社独自の商品開発に挑戦。県内外から注目されている長岡中央水産の魅力について迫ってみましょう。

市場の様子

魚市場と聞いてイメージするような「競り」が開催されるほか、スーパーなどのバイヤーを招きさまざまな商品をPRする商談会も定期的に開催しています!

多くの取引先に支えられながら「次の一手」を探る

長岡中央水産は、生魚、冷凍品、干物、加工品まで幅広く扱う地方卸売市場です。営業社員は仕入れから提案、販売までを一貫して担当し、お客様の要望に合わせた規格調整や年間プランの提案などを行い、競合が多い中でも一歩踏み込んだ取り組みで信頼を得ています。長いお付き合いの取引先や仕入れ先が多く、商材の選択肢が広いため、自由度の高い提案ができる点も強みです。

同社のもう一つの強みが自社加工場です。この設備を活かし、近年ではおにぎり具材の開発や「日本海前浜もん」プロジェクトといった、独自の商品づくりに挑戦中。2025年には東京で開催された「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」に初出展。想定以上の反応を受け、県外や将来的な海外展開へ、視野が広がったと言います。

伝票処理や情報共有の分野でのIT化を進め、動きやすい環境づくりにも果敢に取り組んでいます。長岡中央水産は昔の「市場」のイメージにとらわれない、チャレンジ精神にあふれた会社なのです。

  • 鮮魚や冷凍品、切り落としなどの加工品を手掛ける鮮冷部、漬魚や干物、魚卵を手掛ける塩干部に分かれています。

  • 自社加工場があることで多様な商品開発、食品の加工、梱包まで幅広いニーズに対応可能です。

「おにぎりプロジェクト」米の値上がりに負けない高付加価値のおにぎり具材を開発!

同社が立ち上げた社内ベンチャーの第1号が「おにぎりプロジェクト」。きっかけは、「お米の値上がりなどでおにぎりが利益を出しにくくなっている」というスーパーさんのお悩みでした。そこで同社は「高価値のおにぎり」を提案。自社の強みである水産物を生かした具材開発に着手しました。リーダーを務めるのは“おにぎり娘”こと入社年度も浅い若手の齋藤 菜々美さん。もともと事務職だった彼女、「魚介を使うという前提以外は自由。だからこそアイデアを出すのが楽しいです」と笑顔を見せます。

開発チームは現在5人。「サバいぶりがっこタルタル」、「青のり明太マヨ」、さらには棒鱈を使った具材など、郷土料理やコラボ企画の要素を取り入れたアイテムが次々と生まれています。東京のシーフードショーでは多くの県外バイヤーから評価が集まり、すでにおにぎり専門店で採用された商品もあるといいます。

県外スーパーとのオンライン商談も進行中。齋藤さんは「おにぎりをきっかけに、長岡中央水産の商材を県外にも広げていきたい」と意欲的。地域の味と水産の知恵を掛け合わせた、新しい挑戦が始まっています。

  • 若手がベテランを巻き込み、メンバー全員で斬新なアイデアを発掘しているのが印象的でした。一見意外な組み合わせも、一度味わえば病みつきになりそうです。

「日本海前浜もんプロジェクト」減る需要、先細る供給。そんな業界の課題を知恵で乗り切る

おにぎりに続くもう一つの社内ベンチャーが「日本海前浜もんプロジェクト」です。テーマは、日本海の魚をどうやって未来につなぐか。社歴30年のベテラン、小越 伸夫課長は「魚の需要も供給も、減っていくから仕方ないで終わらせたくない。工夫してもっと美味しい魚を食べて欲しい」と、全国の水産現場を歩き始めました。

新潟だけではすでに十分な原料が集まらないため、小越さんは福井から秋田まで日本海沿岸を訪問。魚が季節によって北上していく特徴を利用し、「魚を追うことで一定期間売り続けられる原料を確保する」という発想でいわゆる前浜原料を再発見しています。シイラ、白えび、フグなど、その土地ならではの魚や、これまで活かしきれなかった原料にも出会い、新たな可能性も見いだします。

集めてきた原料は自社加工場でフライや干物、味噌漬けなど食べやすい形へ。八海山の塩麹を使ったフライはすでにスーパーに並び、小越課長も「店頭で見ると、やっぱり誇らしいですね」と笑います。販売先との共同開発や優先納品にも応じ、地域と一緒に商品をじっくり育てていきます。

現場を歩き、地域の味を未来につなぐ挑戦。それが日本海前浜もんプロジェクト。日本海全体をフィールドに動く、ダイナミックな仕事です。

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日本海の海の幸は全国的にも人気があり、注目度は高いそう。それらの魅力を世にアピールすることは未利用魚の活用にもつながります。

新しい水産ビジネスを、社員みんなで創り出そう!

長岡中央水産が進めるこれらの社内ベンチャーは、大きくみると水産業の将来のための挑戦です。同社の太田 聡一郎専務は「魚が減り、価格も上がる時代。だからこそ工夫し続けなくてはならない」と言います。IT化で働き方を整え、自社加工場を軸として企画力を磨くことで、県外や海外にも展開可能な商品を開発したい——。市場の仕事は「右から左へ魚を流す」だけではすでにありません。企画し「形」にして、どこへどう届けるか。そんな仕事へ変わりつつあります。

そんなこれからの市場に求められるのは、変化を前向きに楽しみ、新しいテーマに飛び込むことに躊躇しない人材です。お客様と組み、商品を作り上げることも、自社加工場と連携してオリジナル商品を生み出す経験も、県外(ともすると海外!?)のバイヤーと膝をつき合わせ商談する機会もあるでしょう。おにぎりや前浜もんのように、自分のアイデアを商品化し、ベストセラーになることもあるかもしれません。

地域の食を支えながら、新しい水産ビジネスをみんなでで築いていく。長岡中央水産には、社員の意見を吸い上げ、それらを新たなビジネスに繋げていく環境がすでにできあがっているのです。

  • トップも若手も一緒になってチャレンジする雰囲気が醸成されている同社。おにぎりに合う具材を模索している様子です。

  • 若手メンバーが中心となり、イベント用のはっぴやうちわ、ブースの装飾までも自作しているそう!自分たちでプロジェクトを創り上げるやりがいに溢れています。

長岡中央水産の本社敷地内には、同社の魚を手軽に楽しめる「長岡市場食堂」があります。自分たちが扱う魚を、一般の方にも是非食べて頂きたい。同社社長も味を監修し、胸を張って提供している食堂です。こういったところにも長岡中央水産が扱う商品への自信やプライドのようなものが感じとれました。ちなみに、個人的なオススメは海鮮丼! たっぷり魚介の贅沢な一品です。長岡中央水産の魅力を、まずは舌で、胃袋で感じとってみてはいかがでしょうか。

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