にいがた就職応援団ナビ2019

Top Session -新潟の働き方改革企業- Top Session -新潟の働き方改革企業- 株式会社サカタ製作所 代表取締役社長 坂田 匠 × にいがた就職応援団 代表 西嶋 弘重 株式会社サカタ製作所 代表取締役社長 坂田 匠 × にいがた就職応援団 代表 西嶋 弘重 株式会社サカタ製作所 代表取締役社長 坂田 匠 × にいがた就職応援団 代表 西嶋 弘重
「残業ゼロ」達成の先を見据え、
労働人口減少期の働き方をリードする。
1992(平成4)年に県内製造業で初めて完全週休二日制を導入。早くから男女共に働きやすい職場環境づくりに努め、ハッピーパートナー企業やイクメン応援宣言企業に認定され、年間休日は123日、有給休暇は1時間単位でとれるなど、数々の取り組みが高く評価されてきたサカタ製作所。まさに「働き方改革」の先を駆ける企業と言えるでしょう。一番の注目は、2014(平成26)年に「残業ゼロ」を掲げ、大幅な残業削減を実現したことです。なぜ、その難題に挑もうと考えたのか、その成果は? 働く現場の悪しき"当たり前"を抜本的に見直し、社員を、会社を、そして社会を幸せへと導くことに挑む変革のリーダー、坂田匠社長にお話を伺いました。
世の中に先駆けて完全週休二日制導入。
働きやすさを追求してきたサカタの試み
staff

西嶋

政府が「働き方改革」を推進するずっと前から、貴社にはその風土がしっかりと根づいていますね。ホームページを見ただけでも、数えきれないほどの取り組みがあり、それが各方面から評価されているのが分かります。

staff

坂田

当社の取り組みのほとんどは、社員が自発的に起こしてくれた活動です。当社の総務部は良い意味でとてもアグレッシブなんですよ(笑)。総務部長が指揮をとり、社員の家族に職場を知ってもらうための見学会や、柔軟できめ細やかな勤怠管理など、画期的な取り組みに次々とチャレンジして働きやすい職場づくりに努めています。働き方改革というたいそうなものでなくても、「働き方を少しずつ見直そう」という動きは昔からありましたね。

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staff

西嶋

その始まりは、1992(平成4)年に、県内のものづくりの会社としていち早く取り入れた完全週休二日制でしょうか?

staff

坂田

そのころはまだ珍しかったからね、社員にも「休みが多いとお金を使ってしまうから困る」と言われ、「そうか、じゃあ基本給を15%アップするよ」と(笑)。当然ながら休みが増えた分、単位時間の給料は増える、さらに残業すると時間外割増で1.25倍に。計算すると給料は約1.5倍にもなりました。ともすれば利益が吹き飛んでしまうようなイチかバチかの試みでしたが、社員の意識が変わり、かえって業績は良くなりましたよ。

staff

西嶋

利益に大きく影響する、簡単には決断できない判断であったと思いますが、最初から勝算はあったのですか?

staff

坂田

土曜日の受注が極端に少ないことに気付いていました。良くて平日の5分の1、それどころか全く電話が鳴らない日もありました。たとえお客様が土曜休みでなくても、その取引先が休みの場合もあるからです。つまり市場は、関わる全ての企業が稼働しなくては成立しない。だとしたら、土曜日に全員が出社して受注以外の業務を行うより、いっそ休みにしてしまうことで思わぬ成果が出るのではないかと。当時社長だった父をはじめ周りは大反対でしたが、「いずれはほとんどの企業が週休二日制になるんだから」と思い切ってやってみたら、予想以上に業績が伸び、その後の急成長の足がかりになりました。

staff

西嶋

貴社の注目すべき取り組みである「残業ゼロ」にも、同様に実現へのロジックがきっとあったんでしょうね。そもそも「残業ゼロ」を掲げるきっかけは何だったんですか?

staff

坂田

元々掲げるはずだった目標は「残業20%削減」でした。もちろん三六協定を超える残業はありえませんが、各自が前年比20%削減する目標にしようと取締役会で決めたのです。

staff

西嶋

その「残業20%削減」が「残業ゼロ」に変わったのは、何があったんですか?

staff

坂田

その目標を全社発表する日、社員のリクエストで招いた講師(㈱ワーク・ライフバランス/小室淑恵代表)の講演を聞いたんです。女性の活用の仕方や、残業をすることの愚かさなどを改めて考えさせられ、さらに講師の「サカタさんは、『残業ゼロ』なんて実現できませんよね」という発言を私への挑戦と感じ取り、その場で立ち上がり、私の独断で「残業ゼロ」を目指すぞと全社員に宣言しました。事前の取締役会で決定した「残業20%削減」を覆すわけですから、監査役は椅子からずり落ちるし、役員全員が「えーっ!」ですよ(笑)。

三六協定とは・・・

時間外労働などについて労使間で取り結ぶ協定のこと。労働基準法36条に基づき、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働を命じる場合に必要となる。会社は労組などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務づけられている。

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働き方の本質を問う一大テーマ。
「残業ゼロ」が人口減少時代の解決策に。
staff

西嶋

坂田社長が考える「残業ゼロ」の本質と、その狙いは何でしょうか?

staff

坂田

ズバリ、優秀な働き手の確保です。少子高齢化・労働人口の減少は、避けては通れない問題です。本来活躍できる優秀な人材が、何らかの事情で職場を離れなければならないとしたら、それを解消できる体制に変えていくことだと考えました。優秀な人材が長く働ける職場環境をつくり、誰もが「この会社で働き続けたい」と思える会社でありたいと願います。

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staff

西嶋

そうですね。働き手の確保は、経営者の皆さんに共通する課題だと思います。

staff

坂田

優秀な人材であっても、子育てやご家族の介護のため非生産労働者となることも多いですよね。今後さらに高齢者が増えるため、生産人口は減少の一途をたどるでしょう。では、一体何がネックになっているのか。それは「不確かな労働時間」です。例えば、小さな子どもがいて妻が育児をしている核家族では、夫の帰宅時間がバラバラであるかぎり、妻は夫を頼りにできません。でも、夫が毎日6時には帰るという約束ができれば、妻も確実な予定を立てられます。つまり、「この時間にはこの人を頼りにできる」という状況が確定することで、夫婦ともに時間の使い方が一変するのです。

staff

西嶋

すると、これまで非生産人口に含まれていた人が一斉にデビューできる。

staff

坂田

だからこそ「残業ゼロ」は必須。労働人口が減少する中で、具体的な解決策の一つになるはずです。当社が導入した完全週休二日制は、今では多くの企業により取り入れられるようになりました。同様に「残業ゼロ」も、10年後にはごくあたり前な働き方になっているのではないかと考えています。

staff

西嶋

とは言え、「残業ゼロ」の実現は決して簡単ではなかったと思います。どのように進めていったのですか?

staff

坂田

私は言うだけなので(笑)、工夫してくれたのは社員です。製造・営業・生産管理・技術開発・総務など、部署ごとに機能が異なるので一括りのルールではできません。だからそれぞれで考え、様々なことに挑戦してくれています。重要なのは、例外を認めないことだと考え、一切の妥協を許しませんでした。「残業ゼロ」を優先したら、売上が落ちる、利益が減る、納期に間に合わない、お客様からの信用を失う、取引がなくなる、といった懸念が社員から挙がりましたが「それでもいい」と明確に宣言し、惰性で残業するような逃げ道をなくしたんです。「『残業ゼロ』が全てに優先する」が、合言葉でした。でもうちの社員は素晴らしくて、お客様の信頼を高めつつ「残業ゼロ」を両立する工夫を考え抜いてくれましたよ。

staff

西嶋

残業代を収入の一部として当てにしていた人もいたのではないかと思います。その点はいかがでしたか?

staff

坂田

週休二日制のときと同様に「『残業ゼロ』が達成できたら給料アップする」と名言し、実際に削減できた金額は、全額ボーナスとして社員に配りました。だから、面と向かっての反発は特になかったですね。元々うちの給与水準は高い方だと思っています。結婚している女性社員も多いですが、旦那さんよりも給与が多い、という話もよく聞きますし。副業を禁止する規則もなくしたので、就業時間後はダイビングのインストラクターや格闘技のコーチなどを行っている社員もいるようです。

staff

西嶋

それも「残業ゼロ」だからできることですね。

staff

坂田

そもそも私たちが社員を拘束できるのは就業時間内だけですもんね。だから残業しないことによって生まれた自由な時間を有効に使ってほしいんですよ。子どもが小さいうちは育児に参加してほしいし、お年寄りがいるなら介護をサポートしてほしい。別の職場を経験して人脈を広げてほしい。今どんな本が売れていて、自分は次にどんな資格を目指すのか。家族のため、社会のため、自己啓発のために時間を使って、フル充電の状態で翌日元気に会社に出てきてくれたら嬉しいですね。最近は部署単位での飲み会や、趣味が合う者同士のサークル活動なども盛んになっているみたいですよ。

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「残業ゼロ」達成で売上アップ!
取り組みがもたらした新たな付加価値とは。
staff

西嶋

結果、「残業ゼロ」を達成しながら、生産性や売上も向上している。取り組みはまさに大成功ですね。

staff

坂田

残業は格段に減りましたが、残念ながら年間を通して10数時間、ゼロまでは行っていない。というのも、当社は残業を1分単位で管理しているため、全くのゼロにするのはなかなか難しいんですよ(笑)。また明らかな残業が発生した場合は、いつ、何時間、どのような理由でそうなったかを幹部会で報告して対策をとります。サービス残業などもってのほか。それは過ちとして厳重注意し、残業をしない仕事の進め方、部署全体の体制など、仕組みや考え方を変えて改めています。そこまで徹底して取り組んだ結果、金額にして数千万円という残業代をコストダウンできました。さらに売上も前年比6.6%アップ、利益は約2.5倍になっています。

staff

西嶋

すごい!そのために最も力を注いだのはどこでしょう。人の効率化や機械の自動化、IT化などいろいろあると思うのですが。

staff

坂田

ITには投資していますね。顧客向けの自動見積システム「SaQS(サックス)」を自社開発して、これまで3日かかっていた見積を5分にまで短縮したんです。またクラウド型グループウェアの導入や基幹システムの拡充により、スムーズな情報取得と業務の効率化を併せて実現しています。それらが評価されて「攻めのIT経営中小企業百選2017」にも選出されました。これもまた、システム部門の社員が声を上げて始めた取り組みの成果です。社員は常に、「残業ゼロ」を軸に物事を考え、効率化を図り、改善活動を行っています。

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staff

西嶋

素晴らしい効果ですね。社員が自ら残業を減らす工夫を考えて、それが評価されるレベルに達していると。

staff

坂田

さらに言うと、当社の製品自体が、少ない作業者で広い面積を施工できるように工夫されたものなんです。これも、今後労働人口が減少することへの対策の一環。このように「残業ゼロ」という切り口から、あらゆる工夫を施して生産性を向上させることで、社会に対して一つの見本となり得るのではないかと思っています。今後ますます、様々な企業の取り組みが社会に影響を及ぼす時代が来るでしょう。「なぜ少子高齢化の日本が国として立派に成立しているのか」「それはサカタ製作所があるからだ」と言われるくらい(笑)、当社もこれからの社会に大きく貢献できたらと思っています。

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Profile
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坂田 匠(さかた たくみ)

1960年、三条市生まれ。日本大学工学部卒業後、ロボットシステムの開発を手がける企業に入社。1985年に常務としてサカタ製作所に入社し、生産工程の自動化を推進する。1995年、社長就任。同社を業界トップブランドへと成長させると同時に、「社会性に勝る方針はなし」との社是に基づくCSR活動も積極的に展開する。趣味は読書。

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西嶋 弘重(にしじま ひろしげ)

1998年、広報しえんに入社。新卒採用支援事業「にいがた就職応援団ナビ」に携わりながら創成期を支える。2000年には有料職業紹介事業「にいがた就職応援団キャリア」をスタート。2010年、代表取締役就任。新潟で頑張る人と企業の縁づくりのため、毎日奔走中。