にいがた就職応援団ナビ2019

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下村工業のものづくりへの挑戦をルポ!

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刃物や金属製品などのものづくりで有名な燕三条。その燕三条エリアに根ざす創業1874年の下村グループは、包丁やピーラーなど刃物系キッチンツールを製造販売する「下村工業」と、鍋やフライパンなどステンレス製のキッチン用品を中心に企画販売を手掛ける「下村企販」を中心に構成されています。

今回は140年以上続く三条刃物鍛冶をルーツに持つメーカー「下村工業」へ! 今では当たり前になったステンレス製包丁を業界に先駆けてつくり、またプラスチックの成形技術によりキッチン便利グッズを次々に開発。企画・設計・製造までを自社で一貫して行っている同社の「新たな挑戦」に密着しました!

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ミッションは、安全で疲れにくい業務用包丁の開発。

下村工業の新しい挑戦とは、ずばり、国内最大級のフードサービスの展示会「国際ホテル・レストランショー」に初出展し、新製品の業務用包丁「龍治 RYUJI」を世に出すことです。「国際ホテル・レストランショー」は、食材、調理器具、厨房設備など「食」のあらゆる業務用品が集まる商談展示会。これまでも下村工業は家庭用・業務用問わず多くの包丁を製造してきましたが、今回の「龍治 RYUJI」はより業務用に特化した製品というわけです。

さっそく実物を見せてもらうと…持ち手がとてもカラフルですね!

「この7色展開のハンドルが「龍治 RYUJI」の特徴です。いろいろな食材を扱うプロの調理現場で、肉、魚、野菜などと食材別に包丁を使い分けることで衛生面に配慮しています」と、営業部の野本さん。長時間持っても疲れにくいハンドルの形状、包丁の自重で食材を切りやすい絶妙な重量感にもこだわっているそうです。

開発の流れとして、まず野本さんたち営業社員は、問屋さんへの聞き取りや既存品のリサーチなどで情報を集め、製品の基本プランを考案。その後、設計を担当する技術課との打ち合わせで具体的な仕様を詰めていきます。さらにパッケージやチラシを考えたり、予算やスケジュールを管理したりと開発全体に関わっていくのも重要な仕事です。

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遠慮なく意見をぶつけ合える関係がある。

続いてお話をうかがったのは、技術課の相田さんです。技術課では、営業との打ち合わせを基に設計図を作成し、3Dプリンタで試作品をつくります。

「ハンドルの太さやカーブの具合がほんの少し違うだけで、握りやすさや手へのフィット感、重さの感じ方が変わってきます。他部署の社員やパートの女性にも実際に持ってもらって意見を聞き、何度も微調整を重ねました。サンプルは数え切れないほど作りましたね」と相田さん。疲れにくいハンドルをつくるためには、毎日台所に立つ主婦の声が必要不可欠。開発チームではない社員の皆さんも協力し、会社全体で意見を出し合っているそうです。

さらに今回は、展示会までのタイムリミットに間に合わせることにも苦労したそうです。この案件に限らず、時間や予算に限りがある中で、どこを落とし所とするか。そのベストバランスを見極めることも、製品開発では重要なポイントだといいます。

「営業と意見がぶつかり合うことはしょっちゅうです」と笑う相田さん。しかし仕事の様子を見せていただくと嫌な雰囲気は少しもなく、互いに納得できるものをつくるために、遠慮せず意見をぶつけ合っている印象でした。

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厳密な温度管理でプラスチックを成形。

業務用包丁「龍治 RYUJI」の話に戻りましょう。下村工業には、今回の包丁のように金属部分とプラスチックを一体成形する「インサート成形」と、プラスチックだけを金型に流し込んで成形する「射出成形」があります。今回の場合は、刃を研ぐ前の包丁を金型にセットして、ドロドロに溶かしたプラスチックの材料を流し込んでつくります。これらの加工を担当する化成部の関川さんに話を聞きました。

「プラスチックは単に溶かして流し込むのではなく、その日の気温や湿度によって溶かす温度を変えたり、溶かす前の乾燥時間を変えたりしています」と関川さん。さらに「龍治 RYUJI」のハンドルに使用するエラストマー樹脂は、ゴムのように弾性に富んだ素材。PP(ポリプロピレン)などの一般的なプラスチックよりも温度管理が難しいのだそうです。

「今はまだ先輩のサポート業務が中心ですが、教わったことはメモをして次の機会にスムーズに行動できるよう心掛けています。早く仕事を覚え、業務の幅を広げられるよう床上操作式クレーンや、フォークリフトの運転免許も取得したいです」と、関川さんは今後の目標を話してくれました。

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包丁に命を吹き込む「水砥本刃付け」。

最後に登場していただくのは、包丁部の土田さんです。担当するのは「水砥本刃付け」という仕上げの作業。包丁の先端部分を高速回転する砥石に当て、水を流しながら刃を研ぎ上げていく工程です。微妙な指先の感覚を頼りに、1本ずつすばやく正確に仕上げます。

土田さんは、入社後は研ぐ時の手の動かし方を徹底的に鍛え、体に覚えさせるために何度も練習したそうです。「安定して研げるようになりましたが、技術・効率の両面でまだまだ先輩たちの足元にも及びません」と、控えめな土田さん。現場の雰囲気について聞いてみると「私のいる研磨班は先輩・後輩の2人でペアを組み、きめ細かく指導を受けられる環境。入社直後から実作業をしながら活躍することができます」と話してくれました。

本刃付けした包丁は、切れ味や刃角度検査、3D形状測定など厳しい品質検査をクリアしたものだけが出荷されます。

最初の企画から、設計、製造まで一貫体制を活かしてスピード感のあるものづくりを行う下村工業。少しでも興味の湧いた人は、ぜひ会社見学に訪れてみてはいかがでしょうか。

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IPPO君の独り言

今回取材させていただいた方々は4人とも違う部署で働いていますが、「本当にいいものをつくりたい」という想いを共有し、使う人のことを考えたものづくりが丁寧に行われていました。
 なんと来年は、プロダクトデザインの本場であるドイツの展示会にも包丁を出展予定とか。下村工業の新しい挑戦は、これからも続いていきます。

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