にいがた就職応援団ナビ2019

IPPO君がゆく!応援団ルポ
技術力で地域の基盤を支える

農地を守る、水路の補修・補強のための新技術

産学官連携の共同研究で生まれた「ストパネ工法」をルポ!

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土木、建築、舗装といった土木・建設工事のプロフェッショナル、水倉組。平成25年、創業100周年の節目を迎えて「より地域に信頼される企業に」と気持ちを一つにしています。

そんな水倉組が「当社ならではの強みを作ろう」と開発に取り組んだのが「ストパネ工法」です。農林水産省の「官民連携新技術研究開発事業」による新潟大学との共同研究から生まれた、水路を修復する新技術。壊して造る時代から、直して生かす時代へと変化しつつある今、一気に注目を集め、栄誉ある賞も受けています。今回はこの工法について、開発責任者の小林さんに話を伺ってきました!

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耐用年数間近の農業排水路がよみがえるような工法を。

農業県である新潟には、2,700kmもの農業用水路が巡っています。実はそのほとんどが高度経済成長期に集中的に整備されたもの。つまり、初期のものはもう50年近く経過しているのです。「当然、耐用年数も迫っています。でもお金がかかるため、なかなか更新できないのが現状。そこで、ライフサイクルコストを抑えた何かしらの対策ができないかと考えました」。さすが土木のプロフェッショナル、目の付けどころが違います。

かつて広く普及した「鋼矢板」と呼ばれる鉄板の水路は、腐食して穴が開き、危険な状況となっているところが多いそうです。これまでは鉄の部分に錆び止めを塗るなどの保全対策がとられてきたものの、やはり再劣化は防ぎようがありません。そこで小林さんたちは考えました。「再劣化しないような、しかもコストを抑えた工法を編み出そう」と。それがストパネ工法開発物語の始まりでした。

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先生や学生と一丸となり屋内外で実験。画期的な新技術が誕生!

まず、同社と柏崎市の藤村ヒューム管株式会社ほか2社で「ストパネ工法研究会」を発足し、工法概念を完成させました。「でもこういった工事のお客様は官公庁です。自信を持ってそこに売り込むためには、力学的な実証が不可欠だと考えたんです」。科学的な裏付けをしっかり取ることで、この工法は広く伝わるはず。そう確信した小林さんたちは、新潟大学農学部との共同研究に取り組みました。

「先生や学生さんたちと実際の水路に出向いて実験したり、室内でも実験を行ったり。その解析データを基に学術論文を執筆し、認めてもらって初めてお墨付きがもらえるんです」。日々の仕事をこなしながらの研究は「一言、大変でした!」と笑う小林さん。そんな努力の一つひとつが、実りある開発につながりました。

そもそもストパネ工法って、いったいどういうものなんですか?「簡単に言うと、劣化した鋼矢板に、鉄と相性のいいコンクリート材を取り付けて補修・補強するもの。表面はプレキャストパネルという軽量の製品で覆うので見た目もきれいです」。これによって耐用年数は従来のなんと2倍に!いかに画期的な工法であるかがわかります。

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価値が認められて県知事表彰を受賞!

優れているのは技術だけではありません。ストパネ工法の場合、今ある施設を壊して新設する場合の4分の1の予算で済むそうです。施設の維持管理費用の一部を負担している農家にとって、これは願ってもない朗報!「さらに皆さんの安全や安心も守るんですよ。老朽化した水路は、地震や集中豪雨による被害の発生率も高い。農業だけでなく周辺地域にも大きな影響を及ぼします。でも長寿命化に成功したこの工法なら、皆さんの安全な暮らしに永く貢献できるでしょう」。

そんな数々の優れた点が認められ、平成25年8月には商品化を実現し「国土交通省、農林水産省、新潟県の新技術データベース」に登録。11月には「新潟県知事表彰 技術賞」を受賞しました!「説明会や展示会への参加なども積極的に行っています。その他、様々な学会に20報以上の学術論文が採用されて、平成27年には農業農村工学会優秀技術賞も受賞しているんですよ」。まさに破竹の勢いです。

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より優れた工法にするためのビッグプロジェクトも始動。

ますます価値の高まるストパネ工法、平成26年度から平成28年度にかけては、農林水産省による官民連携の新技術研究開発事業に採用され、「農業・食品産業技術総合研究機構や新潟大学農学部と共同で、さらなる技術向上に取り組みました。3年計画で数千万円規模の研究開発。様々な分野の方々との共同研究は、とても貴重な経験でした」と小林さん。

今ある課題に取り組んでより良いものにブラッシュアップし、いかに優れた工法であるかを証明する。そのための環境は整いました。今後は研究を続けながら、ストパネ工法の素晴らしさを発信していくことにもさらに注力するそうです。「今年10月には県内企業23社からなる工法協会も設立されて、現在では、新潟県内はもとより、石川県、秋田県、北海道でも採用されているんですよ」。ストックマネジメントの重要性が叫ばれている今、ストパネ工法はますます注目を集めることでしょう!

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IPPO君の独り言

このストパネ工法、汎用資材のコンクリートを使い、特別な施工技術も必要としないため、多くの中小企業が参入可能であることも利点。その波及効果は計り知れません。同社だけでなく業界全体を活気づける研究開発ってスゴイなぁ、とつくづく感心しました!
 ちなみにこの新工法の共同研究が縁で、小林さんは母校の新潟大学で博士号を取得したそう。そんな研究者としての志の高さにも頭が下がります。

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