


国内唯一のプリント配線基板用超硬ドリル(PCBドリル)の専業メーカー「ユニオンツール(株)」。技術の高さや品質の優位性から業界のリーディングカンパニーとしての確固たる地位を築いています。小型化、高性能化が進む家電製品に対応して、髪の毛よりも細い直径に加工を施したPCBドリルを生産。同社のシェアは、国内で70%、全世界で35%と圧倒的です。他の追随を許さない同社の高い技術力についてご紹介します。
設立/1960年 資本金/29億9850万円(2009年11月現在)
事業所/新潟県長岡市摂田屋町字外川2706-6
本社所在地/東京都品川区南大井4-15-8
連絡先/0258-22-2620 社員数/874名(2009年11月現在)
売上高/213億9800万円(2008年11月)

PCBドリル──普段、目にすることがないので名前を聞いてもピンと来ないかもしれませんが、電化製品やパソコン、携帯電話など、私たちの暮らしに欠かせない製品を製造する上で、なくてはならない重要な工具です。
電化製品には多くの電子部品が組み込まれていますが、これらが集積しているのがプリント配線基板です。一つの面なら必要ありませんが、表面と裏面、あるいは多層になった面と面を電気的につなぐために、穴を開けて銅をメッキします。この銅を通じて、回路がつながるわけです。この穴開けに用いられるのが、PCBドリルです。
「パソコンや携帯電話などは小型化、高機能化する一方です。それに伴いプリント配線基板も、小さい面積の中で大容量の回路をつくるため、より高密度になっています。そうなると開ける穴径もますます小さくなり、直径0.3mm以下の割合は2008年度で72%に増えました。中でも直径0.15mmや0.1mmが多くなっています。お客様に販売した中では、ドリル径0.05mmというのが一番小さいですね」と、技術統括部の佐藤彰技術部長。
また、半導体はシリコンチップに回路を焼き付けてつくりますが、通常は扱いやすいように四角いプラスチックでパッケージされています。このパッケージの仕方がプリント配線基板の場合と同じようなつくり方をしており、半導体のパッケージにおいてもPCBドリルが大量に使われています。ユニオンツール(株)は、このPCBドリルの圧倒的シェアを誇っており、それを可能にしているのが同社が誇る高い技術力です。

ユニオンツール(株)では、月に千数百万本ものPCBドリルを生産しています。しかも、今はドリル径0.3mm以下の極小径のものが主流で、折損がなく、高い位置決め精度を有するドリルを生産するのは言葉以上に難しさがあります。いかに同じ寸法で高精度のものを、大量かつ安定的につくるかがポイントになりますが、同社では自社開発した専用設備、評価機(検査機)を駆使して生産することで、それを可能にしています。
穴開けの際に出る切りくずをうまく逃がすドリルの形状も重要で、ドリルのミゾの大きさを設計通りにバラツキなくつくるところが最大のポイントです。さらに、ドリルの性能をより高めるため、同社では表面処理技術も開発。薄い被膜をコーティングすることで、8倍の長寿命を実現しました。このような表面処理を施したPCBドリルは世界初だそうです。
また、PCBドリルは柄の部分がステンレス、ドリルの刃の部分が高価な超硬でつくられています。全体の長さは径に関係なく一定で、従来は超硬をステンレスの柄に差し込んで加工していました。この方法だと、差し込む分の超硬にムダがあったのですが、同社ではこれを熱化学的に接着させる方法を開発。全体に占める超硬の量が少なくて済み、コスト軽減を実現しました。
ドリルの形状設計、表面処理技術、コスト低減、短時間に大量に生産する供給力、全数自動検査による品質管理体制など、同社の技術力はどれも世界レベルと言っていいでしょう。

技術統括部 技術部長 佐藤 彰氏▲
「今後の展開ですが、PCBドリルに関しては海外に目を向けています。現在、台湾に1社、中国に2社の製造子会社があり、ここでの生産を引き続き進めていくことが一つ。当社の技術者も、海外のお客様と技術的な打ち合わせのために、どんどん出向いています」。電子部品分野は拡大する一方で、さらに海外展開を充実させればより大きな成長が期待できます。
PCBドリルのほかにも、同社ではルーターと呼ばれるプリント配線基板を切断する工具、フライス盤に取り付けて切削加工するエンドミル、さらには自動車部品をつくるための工具「ダイス」なども生産。電子部品はシリコンサイクルという需要の波があることから、特に自動車関連のウエイトを高めていけば、事業にも安定感が増していきます。
「技術統括部としては、バイタリティがあり、自らが課題を見つけて解決していける人材が欲しいですね。言われたことをただやる、指示待ちのスタンスではいけません。自分が設計した製品が市場に出る、お客様に喜んでいただける。技術者にとって、それが一番の喜びではないでしょうか。当社では、自分が手がけた仕事の評価がきちんと返ってきますし、足りないところは改良していく。そういうことを繰り返しながら、スキルが上がっていくと思います」。
技術開発の積み重ねによって、他を圧倒するシェアを実現したユニオンツール(株)。エンジニア志望の人にとって、おもしろみを感じる企業の一つではないでしょうか。